【製作記】KINETIC 1/48 F-16D BRAKEET(その1)

【製作記】KINETIC 1/48 F-16D BRAKEET(その1)

今回、製作方法をご紹介するのは、キネティック(KINETIC)という香港のプラモデルメーカーから発売されている1/48スケールの「F-16D ブラキート(BRAKEET)」というキットです。

以前の記事で、ハセガワのJMC向けに製作したイスラエル空軍のF-16Iスーファ(SUFA)をご紹介しましたが、このF-16Dブラキートも同じくイスラエル空軍が運用する機体です。

なお、JMC向けに作成した1/48 F-16I SUFAの記事は以下をご覧ください。

【作品紹介】ハセガワ 1/48 F-16I Sufa イスラエル空軍 JMC電撃ホビーマガジン賞

F-16は、アメリカ合衆国のジェネラル・ダイナミクス社(現ロッキード・マーティン社)が開発した多用途戦闘機で、これまで4500機以上が生産され、西側諸国のベストセラー戦闘機となっています。

F-16Dブラキートは、イスラエル空軍が保有するF-16D Block /40の独自改修機で、ワイルド・ウィーゼル機として使用するために背面にドーサルスパインを新設し、イスラエル製の電子戦機器(エルタEL/L-8240電子戦装置)を搭載しています。

1/48スケールで、このF-16Dブラキートをキット化しているのは、ハセガワとキネティックの2つのメーカのみになります。ただし、ハセガワのキットは限定版となっており、現在では非常に入手が困難ですので、キネティックのキットほぼ一択となります。

ただ、このキネティックのキットは、比較的新しいキットであるものの、パーツ同士の合いが悪かったり、キレイに作るためには、いろいろと手を入れてあげないといけません。

今回は、そんなキネティックのF-16Dを作っていく様子を細かくご紹介したいと思いますので、どのようなポイントに気を付けて作っていけばよいか、ぜひ参考にしてみてください。

今回の製作では、キットの他、Eduardのコックピットのエッチングパーツ、スカンクモデルスのウェポンセットも使用したいと思います。

Eduardのエッチングパーツには、HUDのエッチングパーツは付属していませんでしたので、以前、1/48 F-15J 白龍やF-16I Sufaで使用したファインモールドのエッチングパーツの部品が余っていましたので、これを使用したいと思います。

レジンパーツはないものの、今回はオプションパーツを盛りだくさんに使用していきます。

KINETICの1/48 F-16D BRAKEET
箱の痛みが激しいですが、中身は無事でした
パッケージにBARKEETと誤って記載されており、品質はちょっと心配・・・

パネルラインやリベットなどのモールドは、若干浅い印象だが、非常に精巧なレベル
サーフェイサーを塗装した段階で、モールドを深くする必要があるか見極めることにした

キットにはカルトグラフ製の非常に良質なデカールが付属

KINETICのエッチングパーツ(製造元はEduard)

ファインモールドのエッチングパーツ(一部使用済み)

スカンクモデルスのウェポンセット

ウェポンセットは2種類購入しており、どの武装を使うか思案中ですが、今のところ、短対空ミサイルのPython-4と対地ミサイルのPopeyeを使用予定です。

今回使用するキットやオプションパーツのリンクを貼っておきます。ご興味がある方はいかがでしょうか。

コックピットのパネルは最近ウクライナの「Quinta Studio(クインタスタジオ)」というメーカーから、立体的なデカールも発売されております。ご興味がある方はいかがでしょうか。

コックピット製作

まず、Eduardのエッチングパネルをパーツに貼り付けるため、元々パーツについていたモールドを削り、平らにしてあげます。

コックピットパネルのモールドを削って、概ね平らにした状態です。

また、コックピット内部には、目立つダボ穴がありますので、リューターで削ります。

そこそこ綺麗になったので、コックピット色を塗装した後、エッチングパネルを張り付けていきます。

コクピットのサイドパネルのエッチングを張り付けたところです。非常に精巧な仕上がりです。

次はHUD(Head Up Display)とHDD(Head Down Display)の部品の擦り合わせと、作りこみを行っていきます。

キットのHDDは省略されていますので、今回はファインモールドのエッチングパーツを使っていきます。しかしながら、ファインモールドのエッチングパーツの幅とキットのHDDの基部の幅が異なりますので、うまくエッチングパーツが乗りません。そこで、キットのHDDの基部はカットします。

次に、HDD側にHUDを乗せるための部分を足すため、プラ板で厚さを出してあげます。

そして、HDDのエッチングパーツをかぶせます。

HDDとグレアシールド部を仮組したところです。白いプラ板が見えている箇所がHDDの高さを増した部分です。

プラ板の上から、HUDのエッチングパーツを乗せてあげます。大体これでHDDとHUDの擦り合わせは完了しました。あとは、HDDを塗装した後、グレアシールドに接着し、塗装していきます。

HDD(Head Down Display)のエッチングパーツを張り付けた状態はこんな感じです。サイドパネルと同様、精巧に仕上がります。

コックピットを胴体に接着した状態です。HUDはまだ取り付けておりません。(HUDはキャノピーをかぶせる際に一緒に取り付けてあげます。)

前席と後席のディスプレイです。

インテーク、脚庫製作

インテークのパーツの内側には、「なぜこんなところに?」と思うような大きなダボ穴が付いていますので、ニッパーできれいに切り取り、その後、やすりで滑らかにしてあげる必要があります。

また、インテークの上下パーツを接着した後、継ぎ目ができてしまい、インテークの外から目立ってしまいますので、この継ぎ目を消してあげます。

下の写真は、継ぎ目部分に瞬間接着剤を流し込んだ状態です。この後、紙やすりでなだらかにしてあげます。

インテーク内部のやすり掛けをして、継ぎ目を消した状態です。

インテークの部品中央に隙間が発生してしまいますので、プラ板で埋めてあげます。

インテークの外縁のパーツとインテーク内部のパーツの間に継ぎ目ができてしまいますので、ここも瞬間接着剤を流し込んだ後、継ぎ目を消してあげます。

こういった地味で目立たない部分まで、丁寧に処理してあげると、作品のクオリティがぐっと上がると思います。

瞬間接着剤をやすり掛けし、サーフェイサーを塗布した状態です。まだ若干段差がありますので、更にやすりできれいにしていきます。この工程は、削ってはサーフェイサーを塗布し、段差を確認し、再度削るという作業の繰り返しです。

インテークの内部を滑らかにした状態です。継ぎ目を完全に消せました。

エンジンの入り口部分の継ぎ目も消えています。

またまた、問題発生です・・・。

インテークを胴体に接着する際に、インテーク部品上面にわずかに凹みがあるため、インテークと胴体の間に大きな隙間ができてしまいます。(下の写真の矢印部分)

狭い箇所なので、これをパテで埋めるのは大変です。

そこで、0.3mmのプラ板をカットし、インテーク上面の凹みを埋めるように、接着してあげます。

0.3mmのプラ板を挟むことで、このように隙間がなくなりました。

また、インテークの縦方向のブレードは、キットのものは大きすぎてはまり辛いので、プラ板を細く切って自作し、インテーク内部を塗装後、接着します。

インテークの入り口部分から見るとこんな感じ↓

インテークの上面から見るとこんな感じです↓ 上面から突き出ている余りのプラ板は接着後に切り取ります。

インテークを胴体に接着する前に、脚庫も作っておく必要があります。

まず、脚庫の横壁を胴体と、インテークの部品にあらかじめ接着し、継ぎ目を消しておきます。下の写真は、継ぎ目を消して、サーフェイサーを塗布した状態です。↓

脚庫は細かい部品が色々と付くため、組み上げてから塗装する際に、奥まで塗装することが難しくなるため、この段階である程度塗装しておきます。

まず、グラデーションをつけるために、ネイビーブルーで下地塗装を行います↓

その後、ホワイトで塗装します。下地塗装を行っているため、うっすらと凹凸に沿って、グラデーションが付いています。

更に、ブラックのエナメル塗料で軽くウェザリングを行っておきます↓

インテークの部品を胴体に接着した後の脚庫は下の写真のような感じです↓

また、インテークの内部は白色ですが、入り口部分は機体色ですので、この段階で塗り分けのためにマスキングをしておきます。インテークを機体に接着する前にマスキングしておくと、マスキング作業がしやすいと思います。

後方の脚庫のパーツを塗装して組み立てていきます。↓

後方の脚は左右で一体化されており、説明書では上の写真のパーツを取り付ける前に接着してあげないといけないのですが、説明書通りに脚を先に接着してしまうと、後の作業がやり辛くなってしまいます。

後で接着しやすくするためには、脚の中央部分を切り離してあげます。こうすると・・・

無事、左右の脚ごとに脚庫に取り付けることができます。

エクゾースト製作

次は、ジェットエンジンのエクゾースト(排気)部分の製作です。

エクゾースト部分のパーツにダボ穴がありますので、瞬間接着剤で盛り、紙やすりで削って消してあげます。(この部分は、外から見えづらいのでここまでする必要はないかもしれません。)

また、エクゾースト部分は、ノズルの部分にはめ込むことになるのですが、エクゾースト部分の外周が若干大きいせいか、うまくはまりませんので、外周部分を紙やすりで削っておきます。

エクゾースト部分は、下の写真の網のような部品を左右から挟み込む構造となっております。

したがって、下の写真のように、継ぎ目がどうしても目立ってしまいます。

そこで、網のような部品を左右から挟み込むのではなく、前後から挟み込めるように、エクゾースト部分を前後で切り離します。

そして、前後のパーツをそれぞれ接着し、継ぎ目を消した後で、組み立ててあげます。

インテーク側のジェットエンジンのブレードはMr.ホビーのスーパーチタンで、エクゾースト側は、スーパーチタンで塗装した後、アルクラッドのジェットエクゾーストで、塗装して、焼けた雰囲気を出してあげます。

只今製作中につき、続きはしばらくお待ちください。

ドーサルスパイン製作

ドーサルスパインの製作は、段差が発生する箇所がいくつかありますので、注意しながら組み立てていきます。

まず、下の写真の部品を取り付ける際に、溝が深すぎますので、溝に合うようにプラ板をカットして、溝を浅くしてあげます。

また、楕円のパーツ(アンテナ?)を穴にはめ込む必要があるのですが、穴の大きさの方が若干大きく、接着面の確保が難しいので、キットに付属する使わないパーツを使って、裏から穴をふさいであげます。

まず、使わない部品のサイド部分をニッパーでカットして細長く加工してあげます。下の写真は部品を裏返した状態です。

カットしたパーツを下の写真のように、ドーサルスパインの裏側から接着します。

ただし、溝が若干深いので、更にプラ板を重ねて溝を浅くしてあげます。

これで接着面を確保できました。

あとは洗濯バサミを活用して胴体との間に隙間ができないようしっかりと接着します。

胴体製作

コックピットやインテーク、脚庫、ドーサルスパインの製作が完了後、機体の上面と下面を接着します。

ただし、ここで問題が・・・。

コックピットが胴体の下面パーツと干渉して、胴体の上下面パーツの間に隙間ができてしまいました。

どうやらコックピットの底もしくは胴体を削ってあげる必要がありそうです。

そこで、まずは、操縦席の床面の裏部分を可能な限り削ります↓

それでもまだ少し隙間が空いてしまいますので、0.3mmのプラ板で隙間を埋めます。

こんな感じで、プラ板で隙間を埋めて、流し込みタイプの接着剤で接着していきます↓

接着後、プラ板の余分な部分をカットしたり、やすりで削ったりして滑らかにしてあげます。

また、エアブレーキの箇所にも隙間ができてしまいますので、同じように0.3mm厚のプラ板で隙間を埋めてあげます↓

機首のノーズコーンには、重りを入れておきます。重りはホームセンターで購入したビスを使用し、瞬間接着剤で接着します。

機首はパーツ同士の合いが悪く、段差が生じますので、瞬間接着剤で段差を埋めてサンドペーパーでなだらかにしてあげます。

また、パネルラインやリベットが消えてしまいますので、掘り直します。

機首の右側のパネルは段差ができてしまうので、一旦瞬間接着剤で段差を埋めます。

そして、パネル周囲のモールドラインを再現した後、0.3mmのプラ板で、モールドを復活させます。

胴体のパネルラインやリベットなどのモールドは、若干浅いので、この段階で全体的に掘り直しておきます。掘り直していない箇所と掘り直した箇所ではだいぶ印象が変わります。

以下、掘り直したパネルライン、リベット跡の写真です。

ラダーは垂直尾翼とは別パーツとなっており、接着面が少ないため、下の写真のように、0.5mmの真鍮線で補強しておきます。

また、胴体に取り付ける側面も補強のため、同じく0.5mmの真鍮線をつけておきます。

ラダーにも主翼の両端と同様に細い突起部があり、折れてしまう可能性が高いので、真鍮線に置き換えたいのですが、この部分は真鍮線を埋め込む土台部分が非常に小さく、ピンバイスで土台に穴を開けることが難しいため、一旦下の写真のように、土台を1mm径のプラ板で作成しておきます。こうすれば、0.5mm径の穴を開けても問題なさそうです。

0.5mmの穴を開け、真鍮線で避雷針を作ります。

主翼の両端の避雷針も、同じように0.5mm穴を開けて、真鍮線で作ります。

続きは以下の記事です。



製作記カテゴリの最新記事